好きではない(むしろ嫌いだ)が認めざるを得ないミュージシャン/狂咲 狂


いろんなミュージシャンがいるのは当然で必然。人の子だし好き嫌いもあります。でも嫌いというのと能力があることが比例しないのも事実で時に皮肉なのですね。
僕が嫌いなのは、例えば川谷絵音、故尾崎豊、小室哲也、横山 健、矢沢永吉…。この人たちに共通しているのは何かわかる人たちがいるだろうか?

え?永ちゃんも?永ちゃんファンじゃなかったの?と言われそうですが…ね。

この人たちの共通項はズバリ浮気・不倫です。僕はそういうのが大嫌いでして、人として尊敬の対象からはあっさり陥落してしまいます。それは身内や友人でも同じだし、僕自身もそういう過去(大昔)はあるので、他人から敬意を持たれる資格があるとは思っていないどころか、蔑まされて当然、と思っているわけであります。

だから、永ちゃんファンであるのは事実ですが、それは人としてではなく、あくまで歌手として、作曲家として、エンターテイナーとして、そしてその作品について、のファンなのです。なので一般的な永ちゃんファンのように「成り上がり」をバイブルとは思ってないですが、そのパフォーマンスや一切の字余り、字足らずを起こさず音符を乗せるこだわり、カリスマ性をセルフフロデュースする能力、それらは感嘆、共鳴するしかないのであります。

川谷絵音 については記憶に新しいと思いますが、そのゲスぶりはさておき、やはりメロディと歌詞のセンスには脱帽するしかないのです。この10~20年で、「あらま~、天才っているのね~」と思ったのは彼の他に米津、常田…まぁ天才はいるものです。ちなみにここへんの人たちは別に嫌いではありません。

故尾崎豊、小室哲也、横山 健 、もちろんこの他にも海外のミュージシャンにも豪快な(なんか誉め言葉っぽく聞こえて嫌だけど)浮名を流している人は大勢いるわけですが、「人として」という部分だけはどうあがいても取り返せない汚点と思ってしまいます。あのクラプトンですら、人としては尊敬しませんが、やはりその卓越したスローハンドは魅力的なのです。「いとしのレイラ」は大好きですが、その曲の誕生秘話はできれば封印しててほしかった。矢沢永吉のMARIAも。

浮気や不倫にもいろいろあるんでしょう。すでに破綻していて実質的に終わっている場合や、身体的な理由だったりと、聞かないとわからないことだってあるとは思います。それを聞けば納得するものもあるのかもしれません。
しかし、それはほんの一部で、ほとんどは「裏切り」であるのは間違いありません。人を裏切る人は、どうしても尊敬できないし、それが常習的な人はもうダメです。近寄りたくもないわけです。

だから今回名前を挙げた人達の作品を聞くことはあっても、「会いたい」とか「音楽以外の話をしたい」とはけして思わないわけであります。

とはいえ、ミュージシャンを含め芸人さんや文化人すらも、その人柄を付加価値として売り出すのはいわゆる常套手段であるけども、まさに諸刃の剣。

以前、斎藤和義が自身の曲「ずっと好きだった」を「ずっと嘘だった」という替え歌で原発を揶揄する動画を発表し賞賛される一方で、いきものがかりのギター(名前わからない)が批判をしたりなんていうことがありましたが、たしかにミュージシャンが自身の主張を繰り広げることは、それはリスクでもあるので、巨人ファンか阪神ファンかを言うことはあっても、政党や信仰を公表することは珍しいわけです。

一方で、有名人がそのネームバリューを主張の力として使わないのは、保身でしかないのではないか、という疑念もないわけではないけど、だからと言って桜井和寿の(なぜ政治的な発言をしないかという問いに対して)「自分は音楽に対して向き合い、誠実でいたい」というセリフには正直がっかりしたものです。

ただし、保身に走らず貫くアーティストだっています。故忌野清志郎や桑田佳祐、長渕剛、検察庁法改正案に抗議した小泉今日子、沢田研二やウーマン村本などなど…。

https://www.youtube.com/watch?v=4AlYVqbyWwU (タイマーズ 生放送事故)

いずれにしても僕は、ミュージシャンの私生活や主張には興味を持たないことにしています。そうしないと音楽そのものを楽しめないのです。しかし大物で且つアーティストとして尊敬できる人が、なんらかの主張をすれば、それは興味を引くのは事実だし、それは力を持っています。

僕らの思春期にはYoutubeはもちろん、DVDもパソコンもスマホもなく、テレビで音楽番組があっても歌謡曲や演歌の主戦場でしたので、ほぼラジオでしか聞けない時代。ということはルックスやダンス、キャラクターも見せられないわけなので、作品と演奏のクオリティでしか勝負できなかったわけです。もし今が、当時のようなラジオ時代だったら、ジャニーズやAKBといった人たちは勝負できるのかといったら無理な話でしょう。例えば盲学校に慰問に行ったところでその魅力を伝えることは難しいことになります。同時に余計な情報も入ってきません。浮気していようがクスリやっていようが。

https://www.youtube.com/watch?v=8aQmql5XeqA (アベーロード/桑田佳祐)

「ミュージシャンに悪い人はいない」なんてことは絶対にないわけです。同じくスポーツの世界でも、桃田賢人がギャンブルしようが瀬戸大也が不倫しようが、大会の出場資格を奪うのは違うと思うわけです。ただ彼らを擁護するつもりも全くなく、少なくとも僕は人としては軽蔑する一方で、そのプレイは賞賛したいわけです。

といっても、そういう切り分けをできる人はこの世には少ないのでしょう。奇しくも選挙が始まりますが、女癖が悪くちょっとばかり公金横領しちゃったりするけど政治力は抜群で結果を残せるA氏と、人としては立派で聖人だが政治力ゼロでなんの結果も出せないB氏の一騎打ちなら、皆さんはどっちに投票するんでしょう?

それはさておき、アーティストの素顔に関係なく、いい音楽、いいお笑い、いいスポーツを楽しみたいものです。