狂咲狂の渾身の一枚その②


渾身の一枚、と自分でお題を考えておきながら、どういう観点だろう…?と思ってしまいましたが、とにかく誰にでも自信をもってオススメできる、という一点で紹介するのがこれです。

ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説

言うまでもなくオジーオズボーンのソロデビュー・アルバムです。といっても、「オジー・オズボーン」は個人の名前というよりもはやバンド名という認識の方が強いかもしれないですな。ドッケンやボン・ジョヴィと似たようなもんかな。それほどメンバーも凄い。元レインボーのボブ・デイズリー(ベース)、元ユーライア・ヒープのリー・カースレイク(ドラムス)は既に実績十分で、この時点ではギターのランディ・ローズはまだまだ無名の新人だったわけですけど、よもやよもやでございます。

OZZY OSBOURNE – “Mr. Crowley” 1981 (Live Video)

「ヘヴィ・メタルとは」という音のイメージを決定づけたランディのギターは、リフ、ソロ、オブリガードともに後のメタルギタリスト達のテンプレートになったと言っても過言でないでしょう。

もちろん、クラシカルな様式美を追求したリッチー・ブラックモアやロックンロールを昇華させたジミー・ペイジ、テクニカルなアメリカン・メタルを築いたエディ・ヴァン・ヘイレンも凄いのですが、ランディ・ローズはまた一味も二味も違うのですな。

なんというか背も高くなく、童顔でか細いのに、時に荒々しく時に繊細に、ブラックサバスからのイメージの強かったこのバンドの中にあって、彼の爽やかな存在感は異色でしたね。

しかし彼はそのデビューからわずか一年半後に25歳という若さで他界してしまいますが、単なる速弾きでなくメロディアスでドラマティックなソロや、憎たらしいオブリガードは、思わず手癖にしてしまった人も多数いるんじゃないでしょうか。

さて、普通アルバムと言えば10曲前後収録され、駄作も含まれるものですが、このアルバムには当たりしか入ってません。少なくとも僕は4曲目のDeeと7曲目のNo Bone Movies以外は全部バンドでやりました。

Ozzy Osbourne – 1981 – Blizzard Of Ozz

1曲目のI Don’t Know、2曲目のCrazy Trainは言うまでもなく普及の名作として様々な所で使用されるアンセム的ナンバーになっているし、3曲目のGoodbye to Romanceに至ってはクリーン・トーンでここまで完成されたバラードを弾いてしまうランディならではのフレーズと、そこに歪ませた泣きのギターが入り込み、歌詞の意味が分からなくても泣けてしまいます。4曲目のインストは、クラシックギタリストですらコピーするという名曲Dee、実際に自殺者を出してしまった5曲目のSuicide Solution、誰もが一度はコピーする6曲目Mr. Crowley、唯一の明るい曲7曲目のNo Bone Movies、クラシックギターとエレキギターが絶妙に絡む8曲目Revelation、このRevelationと組曲なのかと思うように繋げられた9曲目Steal Away、まさにパーフェクトとはこのアルバムのためにあるのだといってもけして言い過ぎではないと思う。

オジーオズボーンと言うともブラックサバス時代のイメージもあって、おどろおどろしいイメージがあるけども、作品は優れたものが多いし、ランディ亡き後もブラッド・ギルスやジェイク・E・リー、現在のザックワイルドに至るまで、優れたプレイヤーを輩出していて、スター養成所的な一面もあるんですね。

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僕が19歳の時、それまでいわゆるハイトーン系のボーカリストの曲を演ることが多かったんですが、比較的キーも高くなく、歌唱力もそれほど評価されているわけではないオジーの曲をやることになって、正直僕はあまり楽しんでいませんでした。オジーをやるなら絶対ギターが楽しいのです。おそらくですが、オジー自身もオジーオズボーンのサウンドの要が自身のボーカルよりも、ギタリストであることはわかっていたんだと思いますね。でなければ、ランディ以降の人選についてもあれほどのラインナップは考えられないですからね。