【狂咲狂がオススメする渾身の一枚その①】


 沢山ありすぎて迷いに迷ったのですが、やはりこれしかない、ということで、DEEP PURPLEのLIVE IN JAPANです。僕が高校一年生になったすぐ(1979年)、当時現在のBTVビル隣の現シティFMのサテライトスタジオがあるところが西村楽器店で、その時の店長が某有名パーカッショニストさんだったのですが、なけなしの3,400円を握りしめて買いに行きました。

 当時一日の小遣いが100円だったので、一か月以上貯めないと買えないシロモノでした。発売は1972年なのですでに7年経っていたのですが、どうしても欲しかったのですね。普通当時のレコードならA面に5~6曲入ってますが、このアルバムは二枚組で、A面B面C面には2曲、D面には1曲しか収録されてないので、二枚組なのに全部で7曲しか入ってないという贅沢さ。まぁライブアルバムであることもありますけど、D面の「Space Truckin’ 」に至っては19分54秒という長さ。

 そして驚くのが、当時の客の観覧スタイルですね。曲が終わると一瞬の間が空いてから怒涛の拍手が 始まるわけです。今みたいにスタンディングで拳を突き上げたりしてません。特筆すべきはやはり演奏のクオリティですな。もうシングルバージョンより、みんなライブバージョンをコピーしてしまうくらいパーフェクトで、しかも編集はほとんどされていないというレベル。

 僕は当時エレキギターをまだ持っていなくて、オヤジのスチール弦を張ったガットギターでリッチー・ブラックモアのギターをコピーしようと頑張っていたのですが、それよりもイアン・ギランのボーカルに圧倒され、それよりもジョン・ロードのキーボードに圧倒され、そしてそれよりもイアン・ペイスのドラミングに打ちのめされたのでした(ベースのロジャー・グローヴァーごめん)。

 結局、高校生の時に初めて買った楽器(と言えるかどうか…)はドラムスティックで、イアン・ペイスをやりたくてメンバーを探しましたが、結果メンバーの都合でやったのはチャゲ&飛鳥でした。それから二年生になるとようやくハードロックのできるメンバーと集まりましたが、文化祭を意識すると結局サザンオールスターズとかやらざるを得なくなるという、田舎のハードロックバンドあるあるになっていくのでした。

 さて、ハードロックのライブアルバムというと、たぶん皆さんの想像するのはやかましいイメージでヘッドバンギングして、といった印象かもしれませんが、全く違います。時代背景もあるかもしれませんが、クラシックを聴いているのか、と思うような日本人の反応がとても興味深いのです。演奏中はただひたすらに耳と目をミュージシャンに傾け、終わると「終わったこと」を確認したかのように割れんばかりの喝さいが始まるわけです。それほどに聞く人が「聞き逃してなるものか」と一瞬のアンサンブルやプレイヤーのフィルを求めている、そんなアルバムは他に知らないのであります。

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