コピーかカバーかオリジナルか #1


今回はポピュラーミュージックを演奏するスタイル、について。スタイルって言い方でいいのかどうかわからんけど、要はコピーとかカバーとかオリジナルとかってハナシですな。

今回は主にコピーについて。音楽で言うコピーとは、文字通り既存の曲をそのまま再現すること。俗に「完コピ」っていうのは「完全コピー」の略。
なので難易度の高い曲ほどコピーし甲斐がある。
ジャンル問わず楽譜はたくさん出回っているし、ギターやベースなどには指の位置を記したタブ譜なるものまである。なので好きなアーティストの曲を完全に再現しようと思えば、可能なのである。
実際、いろいろな人たちがそれぞれの好きなアーティストの曲を演奏していて、演奏だけでなく音質にも拘るし、中にはライブバージョンのMCやミスタッチまで再現する人さえいる。
とはいえ、どこの町にもいる「コピーバンド」のほとんどが、ボーカルだけはなかなかコピーできないのだ。ギターのようにエフェクターで音作りをするわけではないので、歌はうまくても本物に声質を似せたりするのは難しい。
実際のところ、そういう意味での「完コピバンド」には、そうそうお目にかかれない。

それに「完コピ」の難しいのは、アーティストの音源を聞くと実はかなりたくさんの楽器が入っている点だ。有名なイーグルスの「ホテルカリフォルニア」を完全に再現しようと思えば、アコギ2本(12弦なら1本)、ベース、ドラムス、パーカッション、ボーカル、コーラス4人、エレキギターに至っては6本(12弦があれば減る)必要なのだ。最低人数のライブバージョンでも5人のメンバーのうちボーカル以外は全員コーラスやらないといけない。

といっても、聴いてる方がそこまで細かくチェックするわけじゃないのでどこまでこだわるかは人それぞれ。

また最近ではトリビュートバンド、カバーバンドなんていう言い方もあって、完コピを前提としない方が圧倒的に多いのだが、ここまで徹底するとかっこいい、っていうのを一つ紹介しておく。福岡ではその名を知らない人はいないってくらい有名なKAWAMURA BAND。ボーカルの河村氏は自らのバンドを「インチキバンド」などと言ったりもしているが、その再現率は半端ない。

さて、いろいろなコピーバンドがいるけども、どんな町に行ってもかならず存在するのはビートルズ、ベンチャーズ。少し大きい地域になるとキャロル(矢沢ソロ含む)、ディープパープル、レッドツェッペリン等のバンドが必ずいて、そのバンドがいる為に同じ町の他の人たちは忖度して別なものをやる、なんていういわゆる「あるある」だ。弾き語りでも、アリスやかぐや姫、長渕剛やミスチル専門という人たちも多いが、同じ町に二組以上は存在しない(場合が多い)。

再現の楽しさは、言うまでもなく本物に近づけること、あるいは超えることを目指せることだ。クラシックなどはまさにその極みだし、音楽だけでなく絵画や書、造形の世界にもあるし、演劇や声帯模写や形態模写など、プロとして活動している人もいるほど深い。僕自身も好きなアーティストの曲を弾き語ったりするが、ひとつは「過去にこんな名曲あったんですよ」なんていう伝道師的な意味合いもなくはない。

コピーの美学は語りだすとキリがないが、最近はプロのアーティストのコピー活動も旺盛だ。もっともプロ歌手の場合、ほとんど原曲と変わらないアレンジでもコピーとは言わず「カバー」と表現されることが多い。現在は「カバー」とは「コピー」と同義語として認識されている。一昔前に「カバーバージョン」という言葉が流行り、なんらかのアレンジを加えたものを「カバー」と言う、というイメージだったのだ。

もともと、演奏のコピーはできても、ボーカルの声質まではコピーできないのが普通なので、もうその時点で「カバーである」という考え方もあった。

では、アレンジを加えた場合は何というか。というと、リメイクだとかオマージュだのインスパイアだの、そもそも決める必要あんのか?というレベルなので深く考えないことにする。

かっこいいコピーバンド、見てみたいものである。

コメントを残す

メールアドレスは公開されません